社長の思い
社長メッセージ
R3年12月1日発刊予定「電動化戦争迎え撃つトヨタ」奥田富佐二 著
世界気候変動とクルマ電動化の未来
まえがき
昨年暮れ「米国テスラ社の資産時価総額がトヨタ自動車の2.5倍を突破!」というセンセーショナルな報道が世界を駆け巡った。
そして今年4月23日ホンダが「脱エンジン宣言」し2040年までにHVも含むすべての内燃エンジン車を無くしEVとFCVのみにするというびっくり仰天の発表をした。「F-1、CVCCエンジンで世界に名を馳せたあのホンダが何故」と信じられない思いでいたのも束の間、翌5月には朝日新聞が「次世代の車ソニーも注力」といった見出しでソニーが自動運転技術でEV参入をもくろんでいると報じた。Vision‐Sと名付けた自動運転EV試作車で欧州域内の公道走行実験を行ってきたが、近々日本でも実用化に向けた取り組みを始める計画のようだ。
これらの動きは地球温暖化防止の為の自動車電動化の潮流が一段と加速していることを如実に物語るニュースである。
気候変動問題すなわち地球温暖化防止の為のCO2削減(脱炭素)の切り札としてテスラのみならず世界中の自動車メーカーが今、血眼になって電動車、とりわけEVの開発競争にしのぎを削っている。
一口に電動車といっても種類は色々あるが大きく分類すれば現時点では、バッテリーでモーターを駆動して走る電気自動車BEV:Battery Electric
Vehicleと内燃エンジンと電気モーターを併載したトヨタ「プリウス」に代表されるハイブリッド車HV : Hybrid
Vehicleの2種類に大きく分類される。昨今頻繁に新聞、テレビ、ネット等メディアに登場するEVというのはこのBEVを指しているので以降単にEVと呼ぶことにする。
もちろんトヨタ「ミライ」のように水素を燃料にして発電した電気で直接モーターを駆動しながら走る次世代EVであるFCV:Fuel Cell VehicleもあるがこれはBEVとは全く別物。
先述テスラは2003年に設立され2006年にEV高級スポーツカー「ロードスター」を発表し2年後販売が始まった。
当初の価格は98,000ドル(約1,000万円)と高価であったがポルシェ911に匹敵する動力性能が評判になり限定生産650台は瞬く間に完売、世界に「EVのテスラ」の名を知らしめることになった。
その後、2012年にはセダンタイプのフラッグシップ「モデルS」を発表しカリフォルニアのMUMMI(TOYOTAとGM合弁会社 )工場跡地で本格的に量産を始めた。
さらにテスラは世界の脱炭素化の流れに乗って廉価な普及型モデルの開発にも力を入れはじめ3年程前に発表した廉価版量産EV「モデル3」,「モデルY」が大ヒットし、昨年2020年には初めて年産50万台を超え現在は世界一のEVメーカーに成長した。
まえがき
【目次】
- 世界の自動車電動化の現状 電動化はまだ緒に就いたばかりEVはまだ世界全体乗用車の僅か2%
- 地球温暖化と電動化 車電動化の背中を押したのは2015年のCOP21「パリ協定」
- 電動化の歴史と変遷 電動化は1997年のプリウスHVで始まり10年後テスラEVで潮流が一変
- EV化の先にある社会&経済問題 もしこのままEV化が進めば世界で1000万人が職を失うことになる
- EVはHVより本当にCO2 排出は少ないか EV本体はゼロエミッション、しかし動力源の電力発電CO2はどれほどか
- EV、HVどちらが安く走れるのか 不公平、不公正な揮発油税のからくりが勘違いを招く
- EVのアキレス腱 実用性を阻む最大の壁バッテリー問題はブレークスルー出来るか
- パリ協定のCO2排出目標に占める自動車の比率はわずか12% CO2世界総排出量335億tonに占める自動車排出は38億tonに過ぎない
- そもそも地球温暖化問題とは何か CO2と地球温暖化の因果関係は立証されたものか
- 後手に回った地球温暖化防止への日本の取組み マドリッドCOP25で晒した赤っ恥
- 世界で唯一の被爆国日本が果たすべき役割 魔性の核エネルギー原発頼みのCO2削減はあってはならない
- 自動運転とEV化 過信、誤操作を誘発する「自動運転」がもたらす悲惨な事故をどう防ぐか
- 真の次世代環境対策車とは 水から抽出した水素による燃料電池車FCVか水素エンジン車
- 2050年までの自動車電動化予測と提言 パリ協定最終年の電動車シェアナンバー1は?
あとがき